NEWS
LIVE/EVENT
MEDIA
BIOGRAPHY
RELEASE
FAN COMMUNITY "IRIS"
GOODS
CONTACT
宮川愛李「仮、おとぎ話」オフィシャルインタビュー
SPECIAL
2025.05.08
⚫︎制作の経緯を教えてください。
宮川
TOKYO MX新木曜ドラマ「低体温男子になつかれました。」のオープニング主題歌用のコンペのお話があって、2曲のデモ音源を提出したところ光栄にも今回の曲を選んでいただきました。
●「低体温男子になつかれました。」のオープニング主題歌用に書き下ろしたデモだったわけですね。
宮川
はい。原作の漫画を読ませていただき、ストーリーを自分なりに理解した上でデモを作っていきました。
●どんなふうに解釈しましたか?
宮川
原作を読んで、基本的にすごくテンポ感のいいラブコメだなと感じました。いい意味でとても読みやすい作品で、ドラマ化するにあたってどこまで原作のままかは分かりませんが、主題歌用のデモは原作の持つコミカルさを大切にしたいと考えました。
また原作は終始ほのぼのとしていて、冷えた心が徐々に温まっていくようなラブストーリーというイメージも強かったので、その世界観に寄り添いながら宮川愛李としての柔らかい部分をうまく出せたらな〜と思って作っていきました。
●「コミカルさ」という部分に関してはアレンジでうまく表現されていますね。
宮川
ありがとうございます。1990年代に流行した「渋谷系」と言われる音楽ジャンルがありましたが、今回はその音楽性を継承しつつ、電子音を混ぜたフューチャーポップや、メルヘン要素を含むガールズポップを織り交ぜたいわゆる「NEO渋谷系」なアレンジに仕上げていきました。キュートでポップなサウンド感も今作の大きな特徴になっています。
●「渋谷系」がムーブメントになった1990年代には、愛李さんはまだ生まれていませんよね。「渋谷系」という音楽ジャンル自体は知っていましたか?
宮川
言葉自体は知っていたし、もちろん曲も聴いたことはあります。私の場合「NEO渋谷系」だったり、進化した最近のデジタルな音楽の方が馴染み深くて、そこから派生して昔の「渋谷系」と言われる音楽にも触れるようになりました。
リアルタイムで聴いていた人とは捉え方が少し違ったりするかもしれませんが新しい発見もあると思うので、色々な時代の楽曲をあまり先入観を持たず聴くようにしています。そういう中から感性に触れるサウンドがあれば、自分の作品にも落とし込んだりしていますね。
●「NEO渋谷系」のモダンさと、「渋谷系」のセンス溢れるオシャレさの両方を感じられるサウンド感がクセになる楽曲ですね。
宮川
そう受け取っていただけてうれしいです。ありがとうございます。
●コンペに出したデモの段階で歌詞も乗っていましたか?
宮川
はい。デモの段階でメロディと歌詞がだいたい同時にできていきました。たしかサビからできたと思うんですけど、フルサイズを作るときにメロディはそのままで、サビの歌詞を丸々書き換えて全然違う内容になりました。
●なぜサビの歌詞を書き換えたのですか?
宮川
提出したデモのサビの歌詞も気に入っていたのですが、フルサイズにする際により深くドラマの世界観に浸って書いていくうちに今回製品になったサビが自然と出来上がっていきました。サビ以外も、Aメロに入れていたフレーズをBメロに場所を変えたり、今回はパズルみたいに組み替えたりもしながら完成させていきましたね。
●全体をとおして、どんなラブソングになっていますか?
宮川
「魔法のような恋心」を『おとぎ話』に例えて表現したラブソングです。
●「魔法のような恋心」というのは? もう少し具体的に説明してもらえますか?
宮川
シンプルに頭の中で考えていたことなんですけど、『恋愛=何かに惹かれる』っていうのは、生きている人間だけが対象ではなくて、例えば物だったり、場所だったり、出来事だったり色々あると思うんですね。それらに対して急に引き寄せられる運命的な瞬間だったり、大きく心が動かされてしまう場面だったり、自分で全くコントロールできない不確かさや、ちょっと怖い感じだったりが、なんだか魔法っぽいなと思ったんです。
私の中で魔法って自分の意思で自由に動かせるものではなくて、人間が理解しきれないもの……すごく強いエネルギーみたいなイメージが強くて、人の知らないところで動いてしまうもの。そんな引き寄せたり、遠ざけたりしてしまうエネルギーのことを、恋をしている時期の心に例えて今回の楽曲のテーマにしています。
●『おとぎ話』に例えてというのは、どういうことですか?
宮川
まず最初に、ドラマの主題歌であるならストーリー性があった方がいいなと考えました。“ストーリー性=物語性”と考えた時に、「物語の代表といったら、昔のおとぎ話が思い浮かぶよね!」と連想しまして。そこから、おとぎ話をモチーフにした内容にしていこうと考えました。
●何か特定のおとぎ話がモチーフになっているのでしょうか?
宮川
何か一つの物語を取り上げてモチーフにしているというわけではなくて、総体的な話なんですけど……。
おとぎ話って、エンディングが悲しい物語もあれば、楽しいものもあったり、残酷な話もあったり、本当に色々あると思うんですね。その一つ一つが、恋したときの様々なエンディングに重なるところがあるなと思って……。
恋をしたとき人はまるで自分がおとぎ話の主人公になったような、そんな運命的な瞬間を何度も体験すると思います。時に、望んだ結末にならなくても、魔法で未来を掴むのではなく、ありのままの自分で「この気持ちを伝えたい」「もう一歩だけ近づきたい」と願うことを大切にしてほしい……今回の歌詞にはそういう思いを込めました。
●タイトルには「おとぎ話」の前に「仮」がついていますね。
宮川
タイトルの意味合いとしては、本当の「おとぎ話」ではないけれど、「もしも、こういうことがあったら?」とか「もしも、こういう選択をしていたら?」みたいな、「たられば」みたいな部分を「仮」という言葉に置き換えて付けています。
毎度お恥ずかしながら、今回もなかなか自分でタイトルを決められず、スタッフさんにも相談しながら最終的に「仮、おとぎ話」というタイトルになりました。煮詰まっちゃったときには気軽に制作チームに相談できる環境で、自分にとって今の状況はとてもありがたく思っています。
●今回の楽曲は、恋したときに芽生える「強い自分」と「弱い自分」の二面性をうまく表現している作品だと感じましたが、実生活で経験した感情が歌詞に表れている部分もあるのでしょうか?
宮川
ありますね。過去の恋を思い返してみるとそうだったような……。恋愛をしたら、おそらく私は情緒がジェットコースターみたいになっちゃうんじゃないかと思います。そもそも性格が宙に浮いている感じと言いますか(笑)。よく、楽しそうだねって言われがちなんですけど、楽しそうな分悲しいときの絶望感というか、落ち込み方は急激な感じがします。感情のコントロールはできないタイプなので、恋をしたら「強い部分」と「弱い部分」が極端に存在するみたいな。また、実はそれが理想だったりもするんですよ。
●理想とは?
宮川
「強い部分もありつつ、弱さもしっかり持っていたいよ」っていう恋愛における理想が自分の内面にあって、それを歌で表現したいという気持ちが潜在的にあるのかなと思うんです。だからこの曲に限らず、自分の曲はそういう傾向の歌詞が多い気がするんですよね。今作に関しても、意識せずとも、自分の理想みたいなものが大きく反映されていると思います。
●歌詞の中に「あの日くれた大丈夫が 今もきっと胸に宿ってる」というフレーズがありますが、愛李さん自身にもそういう大切な言葉がありますか?
宮川
はい。学生時代にすごくお世話になった先生からかけてもらった言葉などはずっと心の中にあります。そういう言葉を、ステージに立つ前とかにも常に思い出していますね。
人それぞれステージに立つ前に掛け声をだして気合いを入れたり個々のルーティンがあると思うんですけど、私も初めは無意識だったけどいつしか定着していたことがあって、そのときに大体お世話になった先生のことや、先生がかけてくれた言葉などを思い出しています。ちょっと声に出してみたりして。そうすると気合いが入りますね。
●「もしも魔法があったら君をキラキラにします」という歌い出しの歌詞も印象的でした。もしも魔法が使えたら、自分がキラキラになりたい人の方が多いんじゃないでしょうか(笑)
宮川
ここのフレーズは、ドラマの主人公の女の子をイメージして描いている部分でもあったりします。すごく世話好きなタイプというか、尽くすタイプの女の子で、相手の男の子をいつも心配して気遣っている女の子なんですね。だから、きっとこの主人公は恋をしたときに自分より先に相手のことを考えて動くだろうなという想像から生まれたフレーズになっています。
またもう一つの側面として、「私(宮川愛李)だったら、魔法があったら好きな人のことを翻弄したくなっちゃいそうだから」という思いから生まれた歌詞でもあります。急に自分が全身金粉まみれみたいにキラキラになったらビックリするじゃないですか。「うわ〜なんだこれ!!」みたいな(笑)。そうなったら面白いだろうなっていうイタズラ心も含んだフレーズになっています。
●レコーディングは順調でしたか?
宮川
アレンジを担当してくださった藪崎太郎さんが今回からレコーディングにも参加してくださることになって、ディレクションをお願いしました。これまでにもアレンジでお世話になっていますが、実際にレコーディングに来ていただくのは今回が初めてだったんですよ。私ってこう見えて意外と初対面の方には内弁慶なところがあるので、「緊張しちゃって歌えるかな?」という不安もあったのですが、非常に効率のよいディレクションで、初回から安心して臨むことができました。
例えば「ここはちょっと演技っぽく声優さんぽく歌ってみてください」とか「ここのフレーズはもうちょっと雰囲気変えて録ってみましょう」など、具体的に指示しながら色々試してくださる方で、私も挑戦するのが好きなのでとても楽しいレコーディングになりました。
私の中ではいまだに表現したいものがこの実力で伝わるんだろうか?みたいなコンプレックスがあって、そういう感情に邪魔されて行き詰まりがちなんですけど、藪崎さんは「まあとりあえずやってみましょう」みたいな感じでスパッと聞き流してくれるので、私としてはそれがすごくありがたくて。レコーディングは非常にスムーズに、めちゃくちゃ早く終わりました。
●MVも、恋したときの「強さ」と「弱さ」の二面性を表現した構成になっていますね。
宮川
いつも通りはじめに私から雰囲気や色味やモチーフなど漠然としたアイデアを監督さんに伝えて、それを踏まえたうえで監督さんが上げてきてくれた企画をもとに打ち合わせを重ね、何度か変更しながら作り上げていきました。
「二面性」というキーワードは私が出したんですよ。ちょうど映画「ウィキッド ふたりの魔女」を観た直後だったんです。シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデ主演のファンタジー映画なんですけど、本当に面白くて。作中のミュージカルシーンがすごく楽しかったので、正直今回のMVではかなり影響を受けています。ここまで具体的に「この作品を意識してください」と監督に言ったことはなかったんですけど、今回は観た直後ってこともあって明確なイメージで伝えました。
●カメラ目線も多くて、目線や表情で演技していますね。
宮川
しんどかったです! いわゆる「陽キャ」(強い自分)と「陰キャ」(弱い自分)の二つが出てくるんですけど、どちらも恥ずかしかったですね(笑)。メイクや衣装に気分が引っ張られながら乗り切りました。「陽キャ」の方は大きなリボンを飾ったヘアスタイルだったり私のキャラにない衣装で、「陰キャ」の方もロングヘアにして普段しないダークな感じのメイクをしていただいて、かなりガラッと印象を変えて撮影しています。そういう部分は漫画作品であることや、ドラマのキャラクターっぽさを意識しています。これまではどちらかというとクールな感じが多かったので、今回は衣装含め新境地になっていますね。常にいろんな表情を見せたいというのは活動全体をとおしたテーマなので、今回のMVではその部分をかなり表現できたんじゃないかなと思います。
●では最後に今回の曲にちなんで、魔法が一度だけ使えるとしたら何をしたいですか?
宮川
能力的なものが手に入るんだったら、「やる気を出す魔法」が欲しいかな。「行動力を上げる魔法」が欲しいですね。もう〜とにかく腰が重いので、「やるぞ〜」のスイッチが入るまでが遅くて本当にそこに関しては笑いごとじゃない。スタッフさんにご迷惑をおかけしております!! やる気ホルモンを増大させる魔法が欲しいですね。もっと可愛いことを言うと、「瞬間移動できる魔法」がいいかな〜。
●それも面倒だからですよね?
宮川
そうですね(大笑)。長距離の移動は好きなんですよ。ボーッと移動しているのは全然いいんですけど、逆に短い距離、電車で1駅とかの移動がめちゃくちゃ嫌で。どうも小刻みに動く展開についていけないみたいな……。でも、会話とかはコロコロ話変わっちゃうから矛盾がすごいんですけど(笑)。めちゃくちゃな感性で生きている私ですが、これからもよろしくお願いします!!
★
宮川愛李「仮、おとぎ話」詳細はこちら