宮川愛李「Sissy Sky」オフィシャルインタビュー

SPECIAL

2019.11.01

●今年1月に「妹子」改め、本名の「宮川愛李」としてデビューして、ライブやイベント、ラジオなどの媒体にも出演したり、アーティストとして色々活動を重ねてきましたが、ここまでいかがですか?
宮川愛李4月のワンマンライブがすごく昔のように感じられます。今はとても楽しく日々活動させてもらっていますね。夏にフェスとかイベントとか色々な所に出演させてもらったので、濃い半年だったな〜と思います。
●そんな中、なんと1stシングルがいきなり「名探偵コナン」のエンディングテーマに抜擢ということですね!
宮川愛李すごいことですよね。私なんかが大丈夫なのかなって気持ちでいっぱいだったんですけど、一生懸命制作しました。
●最初から「名探偵コナン」のエンディング用に作られた作品なのでしょうか?
宮川愛李はい。コナンのエンディングテーマを担当させて頂くという事が先に決まっていて、何曲か候補がある中からこの曲が選ばれました。
●何曲か同時に作っていって、その中からこの曲がコナンの制作サイドに選ばれたのでしょうか?
宮川愛李そうですね。自分としてもデモの段階で何曲か候補があった中でこの曲が一番コナンらしいというか、イメージが湧きやすかったので、最初からしっくりくる曲でした。
●最初にデモを聴いた時にどんな事が浮かんできましたか?
宮川愛李爽やかな曲だなと思いました。
●ちなみに、「名探偵コナン」のエンディングテーマとして初めてテレビで流れた時(8/31)は見ましたか?
宮川愛李リアルタイムで見ました。夕方6時まで用事があったんですけど走って家まで帰って、仮眠していた祖父と祖母に「今から私の曲テレビでやるから〜」って起こして(笑)。あと犬も一緒にみんなで見ました。なんかすごいドキドキしちゃって、「ヤバイヤバイ」って言いながらスマホでテレビ画面を録画してたら、一瞬だけ画面が真っ暗になったんです。そしたらそこに、スマホを構えていた私と、必死に見入っていた祖父と祖母と犬が映っていて!一生懸命に録ってる姿が目の前に現れた瞬間、リアルに「恥ずかしい〜!!」って(笑)。そんな感じでワイワイ楽しく見させていただきました。
●「名探偵コナン」は昔から見ていましたか?
宮川愛李見てましたね。小学校の時は夕飯の前とかに家族で見ていました。映画も結構観ていたので、すごい感動的でした。
●歌詞はどんな所から生まれていったんですか?
宮川愛李今回の曲はメロディから受けたイメージが、「名探偵コナン盤」のジャケにも描かれている灰原哀さんのイメージにすごく合うなと自分の中で思いました。爽やかな所も彼女の心の中を見透かしたような気がして、それを素直に形にしてみました。
●「灰原哀さんの心の中」というのは、どんなイメージだったんですか?
宮川愛李あくまでこれは私のイメージですが、黒の組織から抜け出してきたという暗い過去もありつつ、今はコナンくんや少年探偵団の仲間たちが出来て、固く閉ざしていた心が段々開いてきて、色んな表情を見せるようになってきたと思うんですね。最近は彼女の本来の純粋な少女らしさや、本当の心、本当の自分みたいなものが見えてきた時期だと思うので、そういう心の内側を表現出来たらいいなと思いました。
●それが爽やかな曲のイメージに繋がったんですか?
宮川愛李そうですね。さらに、一説では灰原さんはコナンくんの事が好きなんじゃないかって話も出ているので、そういう“隠してるんだけど出ちゃう恋心”みたいな所も爽やかに表現したいと思いました。
●コナンのエンディング映像にも灰原哀がメインで登場しますが、映像を見た感想は?
宮川愛李素敵なアニメーションを付けてもらって本当に感動しちゃって!これはヤバイって!! 歌詞と一緒に灰原さんがワンフレーズ発しているシーンもあるんですけど、そこは特に心の中で盛り上がりました。「コレだよ、コレ! こういうシーン好き!」みたいな(笑)。他にも沢山あって、私は空が好きなんですね。自分で写真撮りに行ったりもするんですけど、アニメーションに出てくるすごい綺麗な空をバックに落下していく灰原さんのシーンや叫ぶシーンなど、ああいうシーンにすごい興奮しました。
●ちなみに空が好きという事ですが、どういう時に眺めたりするんですか?
宮川愛李実家が式根島という田舎なんですけど、自分的には田舎の空って高くて澄んでいて、雲が流れて色が変わっていったり、夜になったら星が綺麗に輝いたり、そういう表情をどんどん変えていく自然の壮大さみたいな部分に魅かれます。
●東京ではなかなか広い空を見れる所がないですよね。
宮川愛李そうなんですよ、ビルが立っていたりして。でもそれはそれで良さもあるんですけどね。時々見る夕陽とか綺麗じゃないですか。見る場所によって感じ方って変わってくると思いますし、それぞれの魅力があると思います。
●ところで全体の歌詞をまとめていく上で特にこだわった事はありましたか?
宮川愛李途中途中に出てくるセリフっぽい「終わりにしたい」とか、「ちょっとわかるよ」などのメッセージ的なフレーズの所は結構意識しました。歌詞の中に突然語りかける部分があったら、より心に引っかかるんじゃないかなと思って、表記もカギかっこを付けたり、歌う時も感情を込めて歌っていきました。テーマ的には女の子目線の歌なんですけど、自分の心にある不安や孤独を吐露しながら、それを吹き飛ばせるような爽やかな歌にしたい!そんな少女の心の声みたいな部分を意識して書いていきました。
●タイトルはどの段階で決まりましたか?
宮川愛李アレンジも歌詞も全て完成した後に付けました。今回はちょっと悩みましたね。爽やかなタイトルにしちゃうのもストレートすぎるかなと思って、ちょっとひねくれた感じで、ツンデレな心の中に隠された本当の気持ちみたいな所を表現したいと思いました。直訳すると「いくじなしの空」、そんな感じなんですけど……。うわ、なんだか恥ずかしい! そういう意味を持ってつけたってバレちゃう(笑)
●ヴォーカルレコーディングはどうでしたか?
宮川愛李結構大変でした!! 難しかったのもあるし、やっぱりコナンの曲ってことでよりいいものを作らなきゃみたいな気負いもあったし、気になる部分を録り直しもして、最終的には満足のいく仕上がりになりました。程よく感情を込めて歌い上げることが出来ましたね。
●「程よく」とは言い得て妙といいますか、前半はわりと淡々と、後半に向かってエモーショナルになっていくんだけどめちゃくちゃ熱い感じではなく、でもちゃんと感情がこもった歌い方になっているな〜と感じました。
宮川愛李女の子の心の内に秘めた声を歌にしているので、あまり力強すぎないけど、弱さの中にも芯が通っているというイメージで、声の質もそうだし、歌い方もそうだし、ヴォーカルでそういう部分を表現出来たらと思って臨んだんですけど、レコーディングはなかなか難しかったです。聴いてくださる方に少しでもそういう想いが伝わってくれればいいなと思っています。
●1stミニアルバムの取材の際、“かっこいい女性アーティストが憧れ”とお話されていましたが、今回のヴォーカルでもその辺は意識されましたか?
宮川愛李そうですね。そこは意識していました。自分なりのかっこよさを表せたらなと。ロックな歌手にはなれないけど、少しでもかっこよさを感じて頂けたらと思いながら歌いました。
●何かレコーディングでエピソード的な事はありますか?
宮川愛李コナンで流れているテレビバージョンと、シングルバージョンとではサビの部分の歌い方がちょっと違うんですよ。テレビバージョンの方を先にレコーディングしたんですけど、シングルバージョンはテレビバージョンよりも力強くなっています。
●歌詞は変えずに?
宮川愛李歌詞は同じです。気持ち的にはテレビバージョンは灰原哀さん的な目線の「名探偵コナン」のエンディングを意識した歌い方になっていて、シングルバージョンはあくまで作品重視で、歌い手としての私の想いが表れた歌い方になっています。どちらのバージョンも気に入っているので、手に取って頂ける機会があれば2つの違いも感じて欲しいなと思います。
●「Sissy Sky」は直訳で「いくじなしの空」ということですが、愛李さん自身そんな感情になった時はどんな風に解消していますか?
宮川愛李私は歌詞にある通り、叫びますね! 全力で叫びます! 性格上、気持ちをぐっと押し殺すことが出来なくて、嫌な事があったら「わ〜!」とすぐに吐き出しちゃうタイプなので(笑)。それで実際スッキリするので迷惑のかかわない程度に、泣きたい時は泣くし、叫びたかったら叫ぶし。実家にいた頃は誰もいない海に行って一人で叫んだりもしていましたね。人によるのかもしれないけど、そうやって発散することも時には大事かなって。恥ずかしかったりもするけど1回やるとクセになるんですよ。強くなった気がして。
●そういうメッセージ的な部分も今回の歌詞に込められていますよね?
宮川愛李はい。まあ、自分一人でしか解決出来ない悩みについて空は返事はしてくれないけど自分で宣誓したり、何も返事をしてくれないからこそただ聞いてもらって自分で答えを出す事が出来たり。「自分で乗り越えていくぞ!」みたいに決意表明するみたいな、そういう思いも込めています。
●MVはどんな感じになっていますか?
宮川愛李灰原さんがコナンくんのことが好きなのでは?という一説にフォーカスをあてて、3人組の男女が恋愛模様を描くみたいなシーンが入っています。
●ドラマシーンが入ってるんですか?
宮川愛李はい。簡単なものですけど、ストーリー性を感じられるMVになっていますね。登場人物の3人のうち、タイトルとリンクする意気地なしな女の子の役を私がやらせていただいています。「言葉にしない表情での演技がいるな」という所がいくつかあって、その辺が上手く出来ているかドキドキなんですけど(笑)。別のカットでは空に向かって私一人で歌唱するシーンもあるんですけど、そのシーンとドラマシーンとのギャップも感じていただけたら嬉しいです。
●カップリングの2曲は1stライブで歌われていた曲ですね。まず「アマイロ」は歌詞、ストーリー、情景がとても切ないけれど、綺麗に表現されている曲でもありますね。
宮川愛李今回の収録曲は3曲共、全て天気に関する曲になっているんですけど、この曲は特に雨メインで書かせてもらっていて、「切ない、叶わない恋があったんだけど、全部を投げ出してそばにいたいよ」みたいな想いを込めた歌になっています。自分自身特にそういう経験があったわけじゃないんですけど、心を込めて歌詞を書けたかなと思います。
●ナチュラルな歌声が物凄くリアルに胸に刺さってきました。
宮川愛李囁くように、そこに相手がいるわけじゃないんだけど思い出しつつ空に向かって語りかけるように歌っていきました。昔の思い出を語るみたいなイメージで聴いて頂ければと思います。
●完成したこの曲を最初に聴いた時の感想は?
宮川愛李満足でした! 今はライブやイベントで披露するのがすごい楽しみです。ライブ(生)で歌った時にも、CDに収録した声の質のまま上手に表現できるよう、落ち着いて頑張りたいと思います。
●「夕立ち」は可愛くてキュンキュンする、センチメンタルな1曲ですね。
宮川愛李これも情景が浮かぶ歌詞になっています。恋人になりたてでずっと一緒にいる風景を思い浮かべながら書いていったんですけど、……ヤバイ、こういう話になると照れちゃう!あまり経験がないので!(笑)
●くすぐったいですよね。とても幸せな情景が感じられて。
宮川愛李そうなんですよ。雨上がりに傘もささないで、はしゃぎながら、笑いながら、一緒にコンビニまで走っていくみたいな、幸せな生温い時間が誰しもあるじゃないですか! そういうのを表現して歌えたらなと思いました。
●キャラクター的にボーイッシュな愛李さんですけど、こういうくすぐったい曲を歌うのはどうですか?
宮川愛李歌うのは全然平気なんですよ。こうしてインタビュー受けて歌詞の内容を話すのは照れちゃうんですけど、歌い出すとすごい楽しくなって、気持ちも入って、自然とレコーディング出来てしまうんです。
●いちリスナーとしては、こういうキュンキュンした感じの曲を聴くのは好きですか?
宮川愛李聴きますね。青春感ある曲もわりと好きで、「いいな〜」って思っているのかもしれない。だから「夕立ち」の歌詞も私の憧れる恋人同士の毎日みたいな部分もちょっと入っていますね。特に何も大きいイベントがあるわけじゃなく、毎日だらだら過ごせる仲間みたいな、気のおける相手、心を落ち着けられるパートナーみたいな存在と一緒にそばにいられることが幸せだよみたいな、そういう気持ちが入った曲になっています。
●では、3曲をそれぞれ色に例えると?
宮川愛李「Sissy Sky」は歌詞にもある通り、群青、深い青空の色。見た事ないから想像ですけど、空のもっと先にありそうな景色のイメージです。 「夕立ち」はオレンジっぽいです。雨上がりの濡れたアスファルトと夕焼けとみたいな。その中を歩く姿を想像して。 「アマイロ」はちょっとくすんだ水色というか、ストーリー的にもしっとりめの内容になっているので、曇天の空みたいなイメージで他の2曲よりはくすんだ感じ。かといって暗くはないイメージです。 是非皆さんの心の中で、それぞれの色をイメージして頂けたら嬉しいですね。正直、決まった色は作りたくなくて、みんなが曲を聴きながら空を見上げた時に感じるその色になるかなって。聴く状況や、聴いた人のその時の心境によっても変わるだろうし。その時々の心の色で聴いて楽しんで頂けたらと思います。
●初ワンマンツアー「あったまっていきなよ〜!!!」が12月に東名阪で開催されますね。最後に意気込みをお願いします。
宮川愛李コンセプト的には題名の通り、みんなをあっためたいだけです! いつも私がみんなからあっためてもらっているので、今回は私が寒い中あっため返したいなという気持ちがあってのツアーなので、とにかく楽しんでもらえたらなと思っています。